インファナル・アフェアⅢ終極無間』

トニー・レオン演じるヤンが死んでしまっているのに、どうシリーズを完結させるんだろうか? という不安とこのシリーズに対する期待が入り混じるままで観ましたが、とても大人のかっこよさがある世界が描かれていて満足する映画でした. 物語は第1作の後日談でヤンが殉職して10ヶ月経った頃です. マフィアという道を捨て正義の為に警察官として生きる道を選択したラウ. 彼は同じく警察署内に潜入していた残りの潜入マフィアを始末していくが、そんな彼の前に保安部のエリート警官ヨンが現れます. ヨンはラウに対して潜入マフィアであるという疑いを持ち始め、彼の身辺を調べていくというもの. このヨン(レオン・ライ)という警官とシェン(チェン・ダオミン)という中国大陸から来た謎の男が今作の鍵を握る人物です. 1作目の前日談である『インファナル・アフェア無間序曲』を見たおかげでしょうか、特にラウの苦悩というものがより鮮明になっていたように思います. 自分の過去に別れを告げ、新たな道に自分がこれまで必死に求めてきた心の安らぎを見出そうとする様は、とても10年もの間警察に潜入していたとは思えないほど感情豊かで人間臭いものでした. 更生することの精神的な大変さがよく分かるものでしたね. ですからそんな彼の前に現れたヨンという警官に当初は「この冷徹な男は何者? 」と思っていました. しかし終盤で明かされるヨンとシェンの正体. そして彼らとヤンの関係. この3人が出会い、再会を誓うシーンに私はすごく感動したのを覚えています. 彼らには同じ夢があり、ヤンはあと少しのところで夢半ばにしてこの世を去った. だからこそヤンと同じ志を持った残りの2人がその夢を叶えるべく命を懸けて戦う・・・という大人の男のクールで熱いかっこよさにただただ感動するばかりでした. あんな素晴らしい仲間を持ったヤンはそれだけで幸せだったのかも知れないと思いましたね. 一方ラウはラウで悩み苦しんでいて、正義にも目覚めたのだから報われてほしいとも思いました. しかしそれで彼の過去がチャラになる訳ではありませんよね. 彼はボスに命令されたからとはいえ、多大なる損害を警察に与えた張本人です. その責任をとるのは大人としての責務です. 自由ばかりを謳歌できない、責任を取るべきときは責任を取る・・・これが世の中のルールですからね. 改めてこのシリーズを振り返ってみると本当によくできた三部作だったと思います. ムートンブーツ ugg 心の幸せを得るも短く生きるのか、形立派なだけの生活をして長く生きるのか. どちらを選択するかは人それぞれですが、『男たちの挽歌』シリーズのように「恥じて生きるより熱く死ね! 」という言葉が似合う人生の方が私は好きですね. 深夜らじお@の映画館 の今年のテーマは「心の幸せ」です. アメリカ大統領予備選挙がおおいに盛り上がるなか、大統領選挙を描いた映画で思い出すのは、かつて映画界でもっとも大統領の座を狙っている俳優と言われたウォーレン・ビーティーのこの作品です. 堅苦しいイメージのある大統領選挙を皮肉った内容と当時はまだまだあまり注目されていなかった黒人貧困層に着目したところが結構おもしろいのです. 選挙戦に疲れて自暴自棄になり、友人を通じて裏組織に自分を暗殺するように依頼する導入から結構おもしろいのですが、それだけでは飽き足りないのか今度は演説をラップ口調でやってしまうのもかなり笑えちゃいます. もちろん服装はスーツではなくヒップホップな軽いもの. 普通に見れば明らかに選挙を小馬鹿にしているだけなのかも知れませんが、この頃以前から混迷していたアメリカを巧いこと皮肉っているので、頭のお堅い人以外は十分楽しめるんですよね. そしてこの映画で一際印象に残るのがこの破天荒なブルワース候補をいつの間にか支援する立場にいる無名時代のハル・ベリーです. 正直映画を見る前に彼女が出演していることをすっかり忘れていたので、ハル・ベリーだと気付いた時は少しひっくりしましたよ. でもこの頃からちょっと異質な雰囲気があり、『チョコレート』でオスカーを受賞したのも改めて納得できましたよ. で映画そのものも後半は少しはかりトーンダウンしてしまうも、徐々に前振りの暗殺ネタが近づいてくる演出と、本当にアメリカ大統領に必要なものは何なのかにブルワースが気付いていくくだりは、人種差別が経済格差にも大いに繋がっている現代アメリカ、ひいては昨今の日本の状況にも照らし合わせることができ、非常にいろいろと考えさせられます. もし仮に日本でもこんな首相候補が登場したら、利権にがんじ絡みの日本の政治は大きく変わるのでしょうか? まぁ百歩どころか二百歩譲ってもそんな政治家など絶対に現れないこの国ですからね. 橋下新大阪府知事も府政に詰まったらラップ口調でいろいろやってみるのもいいかも知れませんね. 深夜らじお@の映画館 はサランラップの扱いが少し苦手です.