スタンド・アップ』キャリー

キャリーを演じるシシー・スペイセクのあの黙り込んだ表情が怖い! 宗教にのめり込んでいくキャリーママの異常さも怖い! でもそれ以上に女の子同士のイジメが一番怖い! 学園モノに超能力ホラーを組み合わせただけでなく、人間の心の闇がもたらす最悪の結末を一気に描いたこの映画は本当に救いのない映画ですが、でもずっしりと心に残る衝撃的な映画でもあると思います. スティーブン・キングのホラー作品の代表作でもあるこの映画. まず何と言ってもあのそばかすだらけの無表情にも近いシシー・スペイセクの表情がとにかく怖くて、凄く不気味です. 始めはちょっと物静かな女の子に見えても、これがあのラストでは鬼の形相をするよりも遥かに恐ろしい表情に見えてしまうんですからね. この映画を何も知らずに深夜に見た日には夢にも出てくる勢いですよ. でもこのキャリーの表情よりも遥かに怖いのはやっぱり女の子同士のイジメ. これは男の立場から見ると本当にえげつないんですよね. だって相手を容赦なしにとことん追い詰めるくせに、どこまでも自分の保身には細心の注意だけは払っているんですもん. 特に学生などの若い女の子は必ずと言ってもいいほど、自分が女であることを最後の逃げ道として用意してます. ですから男からすればヘタに仲裁に入ったり、または注意したりするのは禁物. そんなことをすれば女の涙を使われたり、根も葉もない噂をバンバン流された挙句に女の敵として祭り上げられたりと、とにかく女の子たちは一切の反省も迷いもなしに相手が滅びるまで攻撃を止めませんからね. あれは本当に男の世界では考えられないえげつなさですよ. そんなえげつなさが爆発するのがあのプロムでのシーン. 何と言ってもキャリーが幸せの絶頂にいる瞬間に頭に豚の血がドパッ~は酷すぎます. しかもOPでシャワールームでの生理シーンが強烈だったことやキャリーママが悪魔に取り憑かれた云々と発狂したことも手伝ってか、キャリーが奈落の底に突き落とされてしまう悲しさが半端じゃないんですよね. だからこそキャリーが誰も信じられなくなるのも理解できるんです. お世話になった女性体育教師だって絶対に嘲笑っていないはずなのに、誰もかもがキャリーの復讐を受けてしまう恐ろしさに息を呑んでしまうんです. まぁジョン・トラボルタたち主犯2名がああいうラストを迎えるのは当然としても、ドレスを豚の血で真っ赤に染めたまま目を大きく見開いた時のキャリーの恐ろしい表情は恐ろしかったですね. 変に大きく開口するのではなく、前半の無表情をしっかりとベースにおいたあの睨みは最高に震え上がりましたよ. さらにこれで話が終わる訳ではなく、そこからキャリーママの異常さが再び爆発したかと思うと、まさかまさかのキャリーは救われませんでしたというオチ. しかも生き残ったスーが夢にうなされるというラストも強烈です. サッカースパイクナイキ -- 最高人気スニーカーの通販専門店です! 普通は生き残った者が反省し、キャリーのことは忘れません! でキレイに終わるのかと思いきや、いきなり地中から赤い手が出てきて引きずり込もうとするんですもん. あれでキャリーの怨念が関係者を全滅させるまでどこまでも続く、まさに悪魔になったように見せるところも恐ろしいまでに素晴らしかったです. しかし考えてみればシシー・スペイセクもこんな役を演じれば、普通はインパクトが強すぎて『時計じかけのオレンジ』のマルコム・マクダウェルのように廃ってしまうのに、彼女は未だに女優として活躍し続けているんですもんね. それは改めて凄いことだと思いましたよ. 深夜らじお@の映画館 は女性の恐ろしさには何も逆らえません. 世界で初めてセクハラ裁判に挑んだ女性を主人公にした話ということで重いテーマの映画と聞いていました. ですから映画を見終わった後は、この『スタンド・アップ』という邦題はうまいと思うのですが、どうもこの映画のTVCMがダメダメ. まるで『キューティ・ブロンド』みたいな「女の子ガンバレ映画」で、そのCMを見て映画館に行った女性はショックのあまり男性不信になるのでは? と思うくらいですよ. ほんと、あのCMを作ったカタノセンスの無さには違う意味で脱帽してしまいます. 今でこそ世界中あちらこちらで行われているセクハラ裁判. でもその第1号となる女性がどんなことで裁判に訴えることになったのかと思いきや、まぁこれがとにかく気分悪いこと. 男性オンリーの職場というイメージの強い鉱山にこの主人公の女性が働くようになったことで男性従業員からいろんな陰湿で卑猥なイジメを受けるのですが、これ本当に大人の男性がやったことですか? と問いたくなるほどの情けなさ. いやそれ以前に人間として情けないの一言. 世間では女性が認める「女が腐ったような男」という言葉があるように、また私もこれまでにそんな情けない男に出会ったことはありましたが、もし自分の職場にそんな男しかいないと思うだけで気分悪いどころじゃないですよ. 一応私も男性なんですけど、こういうイジメは男としての価値をとことん下げるものだからこそ、絶対にしてはいけないもの. 女性にモテたいとかいう以前にこういうことをする男は同性にも嫌われますよ. ですからあの「女の子ガンバレTVCM」はダメですよ. もっと映画の内容に即したものにしてほしいです. 女性監督の割りにフェミニズム映画になっていないだけに、ちょっともったいなく感じました. 深夜らじお@の映画館 は女性の前ではソフトな下ネタしか言いません.