挑戦者・羽生二冠が1勝返しタイ 将棋名人

18日、広島8―1DeNA) 広島の前田健DeNA打線をまたも黙らせ、8回無失点. 余裕の完封ペースにも「完封にこだわりはなかった. 先のことも考えているんで」と涼しい顔だ. 6日の無安打無得点試合から2週間足らずでの再戦. エースには無駄な重圧も力みもなかった. 十分過ぎる援護を追い風に、3回から4イニング連続で三者凡退. この間、要したのは37球. 早いカウントで強振してくる相手打線の焦りを逆手にとった. ゆとりたっぷりの97球で今季本拠初勝利. 横浜スタジアムの時ほどの派手さはなくとも、確かな進化を続けている. 25日朝から新潟県長岡市の長岡グランドホテルで指し継がれていた第70期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社毎日新聞社主催)の第2局は午後8時55分、挑戦者の羽生善治二冠(41)が森内俊之名人(41)に133手で勝ち、対戦成績を1勝1敗とした. 持ち時間各9時間のうち、残りは挑戦者27分、名人1分. 第3局は5月8、9日、福島県いわき市の「スパリゾートハワイアンズ」で. 1日目から激しい展開に. 2日目は挑戦者の緩急自在な指し回しが光り、盤面を制圧していった. 午後6時から30分間の休憩を挟んで名人が粘りをみせたが、防戦の手段が尽きたところで投了. 終了図では先手玉に迫る手がなく、後手玉は受けが利かない. 終局直後、羽生挑戦者は赤みを帯びた目を見開くように盤を見つめた. 強い緊張から解き放たれたばかりのためか、小さな声にいつもの張りはなかった. 副立会人兼解説者の橋本崇載(たかのり)八段は「森内名人の62手目△2七金は意欲的な新手だったが、駒が思ったよりも働かず、作戦ミスだったようだ. 羽生挑戦者は、攻めと受けの判断が自在で完璧だった」と話した. (小川雪) ◇ 〈2日目の指し手〉先手・羽生挑戦者 △2五銀(封じ手=68手目)▲6一飛△4八角成▲6八金△4六歩▲同角△6七桂▲7八飛△5九桂成▲2四歩△4一歩▲2三歩成△同玉▲2四歩△3三玉▲6六飛成△2六馬▲6七銀上△4四馬▲7五竜△6五歩▲同銀△4五銀▲6四角△6三歩▲5六銀引△6四歩▲4五銀△2六馬▲4三歩△同金直▲4四歩△4二金引▲4三銀△7四歩▲8五竜△8四歩▲5五竜△2二歩▲3二銀成△同金▲4三金△2四玉▲3二金△2八角▲2七歩△5五角成▲2六歩△同銀▲5六銀上△4六馬▲5二角△2五銀▲2二金△2三歩▲同金△同玉▲4一角成△3二金▲4三歩成△2四玉▲3二馬△1六銀▲4二馬△2五玉▲4七銀(終了図)までで羽生挑戦者の勝ち. ◇ 羽生挑戦者の話 119手目の▲5二角でいけると思った. ただ、寄せ方はいま一つさえなかった. 次も全力で戦いたい. 森内名人の話 相手の方針に応じて指していこうと思っていたが、駒の働きが悪く、終始苦しい戦いだった. 次も頑張ります.